ありとあらゆるサプリメントが売られている現在。
食事では摂りきれない美容方法に良さそうな栄養素を摂りたいけど、中には高額なものもあるし、ムダならやめたいし…。一体サプリメントってどのぐらい効果があるのでしょうか?
そこで、薬剤師でもあり病理専門医でもある峰宗太郎先生に、サプリメントとは何なのかを聞いてみました。峰宗太郎先生は、米国国立衛生研究所(NIH)で感染症の研究をしており、トンデモ医療情報にダマされないよう情報発信しています。
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◆サプリメントは「効果」を書いてはいけない
峰宗太郎先生(以下、峰)「サプリメントは、基本的には栄養補助食品といって、食品に分類されます。いわゆる『効果』の順で言うと、医薬品、医薬部外品そして、サプリメントの順と考えていただくと大きく間違いではありません。
医薬品は効能・効果をうたえるのですが、サプリメントは効果はうたえません。例えばブルーベリーのサプリメントの宣伝などは『今すぐクリアをキープしたい』といったように、ぼかして書いてあります。
ビタミンなら『皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに抗酸化作用を持つ栄養素です。ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です』といったように『栄養素です』としか書いてありません。『健康維持を助ける栄養素』と遠回しな表現です。『皮膚を美しくする』とは書けないんですね」
◆ビタミンのサプリメントはムダじゃない
峰「それにサプリメントの研究をするのは難しいこともあります。例えばビタミンCをサプリメントで摂りますよね、でもそれは食品にも含まれていますので『ビタミンCのサプリメントを摂っている人 VS いない人』で、よほど量に差がないと単純に比較ができないんです。
医薬品は、基本的に『治療』に用いるため目的とする効能・効果が明白ですよね。でも健康進目的で処方薬を出すことはありません。医薬品は悪くなった体調をよくするためのものなんです。
ちなみに『サプリメントで摂るビタミン剤は吸収されない』という話もあるようですが、ビタミンなどは問題なく吸収されます。そして不必要な分は排出されます。サプリメントを飲んでも栄養が摂れず全く意味がないというわけではありません」
◆サプリメントでも効果が期待できるEPAやDHA
峰「サプリメントと言っても範囲が広くて、効果の強いもの、研究の進んでいるものから、それほどでもないものまであります。
医薬品と同じように研究がされていて、効果が研究されているサプリメントに、例えばEPAやDHAなどがあります。EPAは脂質異常を改善したりすることが知られています。実際にサプリメントとして売られているものとほぼ同じ成分が医薬品になっていて、医薬品の方はしっかり試験をして、認可を得ています。
EPAなどは医薬品よりもサプリメントのほうが用量が多いこともあるくらいです。もちろんサプリメントの表示には『生活習慣が気になる人に』などと書いてあります。でも実際には脂質異常症などに効果があるかもしれませんね。
そうなると病院で処方されるより安く買えることもあるかもしれません。ただし、治療目的ではサプリメントは使用せず、医師と相談することが大切です。そのほかにも口内炎や肌荒れにはビタミンB類が効くなど、効果があると言えるものはもちろんあります」
◆コラーゲンのサプリメントで美肌になれる?
峰「生物は自分の身体を構成する形で栄養素を摂るのが一番効率がいい、と言っている人もいるようですね。そう考えてしまうと、人間は人間を食べるのがいいと言うことになりそうで、髪の毛をむしゃむしゃ食べたら毛が生えるのかという話になります。
コラーゲンを摂るのは栄養素としては無駄ではありません。しかし、その成分が狙った場所にコラーゲンとしてすべて行くわけではありません。コラーゲンはタンパク質の一種ですが、食べると分解されてアミノ酸になって吸収されます。そのアミノ酸が身体のどこの成分になるかは分からないんですね。コラーゲンを食べたら即お肌がつるつるになるかというと、それは言い過ぎですよね」
◆ブルーベリーが目にいい根拠はない
峰「ブルーベリーのアントシアニンが目にいいと言われ、今までにも研究がなされていますが、特にこれといった結果は出ていないようです。ブルーベリーの成分で目にいいのはビタミンAくらいでしょうか。これが欠乏すると、暗いところでものが見えにくくなる『夜盲症』になりえます。
しかしビタミンAやD、E、Kは『脂溶性ビタミン』で、油に溶けるビタミンなのですが、摂りすぎてはいけません。残念ながら食べるだけで目にいいという成分は、老眼なども含め、今のところ発見されていないんです」
◆サプリメントに飛びつく前に正しい情報を
サプリメントに限らず、一般的に信じられている健康などに関する科学的なことに根拠があるかを検証しているサイトがあります。是非参考にしてみてください。
●「総合医療」情報発信サイト
厚生労働省の事業による情報サイトです。がんやうつなどの各種疾患、鍼、ホメオパシーなどの各種施術・療法や、サプリメントなどに関する研究結果や解釈などが掲載されています。
米国国立衛生研究所(NIH)内のダイエタリーサプリメント室(ODS)、米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)、米国国立がん研究所(NCI)内のがん補完代替医療事務局が運営しているサイトから許可を得て抜粋してきており、非常に信頼できる情報が掲載されています。
●疑似科学とされるものの科学評定サイト
明治大学が運営している疑似科学を検証しているサイト。コエンザイムQ10、ブルーベリーエキスといったサプリから、ホメオパシー、カイロプラクティックといった民間・代替療法、水素水やマイナスイオン、占い、ヒーリングやUFOに至るまで、ちまたで話題の科学らしいもののあれこれを評定しており参考になります。
宣伝や噂にダマされず、賢いサプリ生活を送りましょう!